2012年04月07日

シリーズ 労働災害が起こった場合 1

相変わらず、労働災害が絶えません。
まれに、会社による労災隠しも散見されます。
そこで、労災事故が起こった場合その責任や労災保険の対象が
どうなるのか、
考えてみたいと思います。
今回は労働災害の責任について考察します。

1.労災事故が発生した場合に問われる責任には、必ずすべて
  というわけではありませんが、下記のようなものが
  あります。
 @刑事責任  A民事責任  B行政責任  C社会的責任
 これらは、労災保険等の申請により療養補償や、休業補償、
 傷害補償、遺族補償等が適用されたとしても、それですべてが
 免責されるわけではありません。
 (労働基準法84条1項)
  この法律に規定する災害補償の事由について、労働者災害
  補償保険法又は厚生労働省令で指定する法令に基づいて
  この法律の災害補償に相当する給付が行われるべきもので
  ある場合においては、使用者は補償の責を免れる。
 (労働基準法84条2項)
  使用者は、この法律による補償を行った場合においては、同一
  の事由については、その価額の限度においては民法による
  損害賠償の責を免れる。
 *この規定により免れる責任は、上記2項の範囲に限られるが、
  実際の責任の範囲は@からCまでのようにもっと広く、すべて
  をカバーされているわけではないので注意が必要です。

2.労災事故の責任にかかわる主な関係法律
 @労働基準法  A労働安全衛生法  B労働者災害補償保険法
 C民法  D刑法  
  これらの法律の該当条項による直接的責任のほかに、判例上
  認められている事業主の付随義務としての、「安全配慮義務」
  「債務履行義務」等からも多様な責任が問われることに
  なります。

3.具体的の求められる補償、責任の内容
 @刑法211条(業務上過失致死傷)
  業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、
  5年以下の懲役若しくは禁錮または100万円位以下の罰金
  に処する。
  重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
 A民法415条(債務不履行損害賠償責任)
  債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は
  これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者
  の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなった
  時も、同様とする。
 *民法709条(不法行為による損害賠償責任)
  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を
  侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
 B行政責任
  労働安全衛生法等により労働災害に付随して各種の報告を求め
  られたり、事業場の改善、設備の撤去、事業場の稼働停止など
  多様な行政処分、行政指導が科せられます。
  また、労働基準法121条、労働安全衛生法122条などで
  両罰規定が定められています。
 *両罰規定  この法律の違反行為をした者が、当該事業の労働者
   に関する事項について、事業主のために行為した代理人、
   使用人その他の従業者である場合においては、事業主に対しても
   各本条の罰金刑を科する。

  以上の通り、単に直接的な労災被害者の補償費用負担にとどまらず、
  各種責任の損害賠償、業務上責任や民事上の慰謝料請求なども
  請求されることがあります。

いずれにしても、労働災害が起きないように常に事業主の方は
環境改善に努めましょう。

  行政書士&社会保険労務士 成瀬事務所
posted by なんでも興味アリの行政書士&社会保険労務士 at 09:51| 愛知 晴れ| Comment(0) | 労災関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月04日

シリーズパートタイム労働法の概要 2

シリーズ  パートタイム労働法の概要 2
平成20年4月1日より改正法施行

9.使用者の責務――待遇決定の考慮事項の説明(第13条)
・事業主は、その雇用するパートタイム労働者から求めがあった
 ときは、その待遇を決定するにあたって考慮した事項を説明
 しなければならない。

10.使用者の責務――短時間雇用管理者(第15条)
・事業主は、常時10人以上のパートタイム労働者を雇用する
 事業所ごとに、短時間雇用管理者を選任するように努める
 ものとする。

11.パートタイム労働者と通常労働者の比較――職務の内容が
  異なる
・職務の内容とは、業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度を
 言い、職務の内容が同じかどうかについて次の手順で判断する。
 @職種を比較
 A従事している業務のうち中核的業務で比較
 B責任の程度を比較

12. パートタイム労働者と通常労働者の比較
  ――人材活用の仕組みや運用が同じかどうか
・通常の労働者とパートタイム労働者の人材活用の仕組みや運用
 などが同じかどうかについては、次の手順で判断する。
 @転勤の有無を比較
 A転勤の範囲を比較
 B職務内容・配置の変更の有無を比較
 C職務内容・配置の変更の範囲を比較

13.短時間正社員制度とは?
  短時間正社員とは、フルタイムの正社員と比べて所定労働時間
  (所定労働日数)が短く、次のどちらにも当てはまる労働者
  を言う。
 @期間の定めのない労働契約を結んでいる
 A時間当たりの基本給および賞与・退職金の算定方法などが、
  同じ事業所で雇用される同種のフルタイムの正社員と同等である

  *短時間正社員制度は、育児・介護を理由とする者に限らず、
   健康や体力面への配慮・地域活動への参加・自己啓発を目的と
   するもの、パートタイマーから正社員への転換としてなど、
   従業員の多様な就業ニーズに対応することができる制度です。

 また、企業にとっても優秀な人材の獲得や社員の定着率の向上、
 採用コストや教育訓練コストの削減、社員のモチベーションアップ、
 外部に対するイメージアップといったメリットが期待できます。

 行政書士&社会保険労務士 成瀬事務所
posted by なんでも興味アリの行政書士&社会保険労務士 at 15:53| 愛知 雨| Comment(0) | パートタイム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

シリーズパートタイム労働法の概要 1

シリーズ  パートタイム労働法の概要 1
平成20年4月1日より改正法施行

1.短時間労働者とは(第2条)
・1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者
 の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者とされている。
・「パートタイマー」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」
 など、名称の如何にかかわらず、上記に当てはまる労働者であれば、
 「パートタイム労働者」としてパートタイム労働法の対象となる。
・「通常の労働者」とは、同種の業務に従事する「正社員」「正職員」
 など、いわゆる正規型の労働者がいれば、その労働者を言う。

2.労働条件の文書交付等のポイント(第6条)
  対象者:すべてのパートタイム労働者
・労働基準法では、パートタイム労働者も含めて、労働者を雇い
 入れる際には、労働条件を明示することが事業主に義務付け
 られている。特に、「契約期間」「仕事をする場所と仕事の内容」
 「始業、就業の時刻や時間外労働の有無、休憩、休日、休暇」
 「賃金」「退職に関する事項」等について、文書による明示を義務
 付けられている。
・パートタイム労働法では、これらに加えて、「昇給の有無」
 「退職手当の有無」「賞与の有無」の3つの事項が文書等による明示
 を義務付けられている。

3.差別的取り扱いの禁止のポイント(第8条)
  対象者:3要件を満たすパートタイム労働者
・3要件を満たすパートタイム労働者とは、以下の要件を満たす者。
@職務の内容が同じ
A人材活用の仕組みや運用などが全雇用期間を通じて同じ
B契約期間が実質的に無期契約
・3要素を満たすパートタイム労働者は、通常の労働者と就業の実態
 が同じと判断され、賃金の決定をはじめ教育訓練の実施、福利厚生
 施設の利用その他のすべての待遇について、パートタイム労働者
 であることを理由に差別的に取り扱うことが禁止された。

4.雇用管理の改善――教育訓練(第10条)
・通常の労働者と職務の内容が同じパートタイム労働者に職務遂行に
 必要な能力を付与するための通常労働者に実施する教育訓練に
 ついては、パートタイム労働者にも同様に実施する義務。(1項)
・すべてのパートタイム労働者に通常の労働者との均衡を考慮しつつ、
 教育訓練を実施するよう努力する。(2項)

5.雇用管理の改善――福利厚生(第11条)
・福利厚生施設のうち、給食施設、休憩室、更衣室について、通常の
 労働者が利用している場合はパートタイム労働者にも利用の機会を
 与えるよう配慮義務。

6.通常の労働者への転換(第12条)
  ――いずれかの措置を講じなければならない
・通常の労働者を募集する場合、その内容をパートタイム労働者に
 周知。
・通常の労働者のポストを社内公募する場合、パートタイム労働者
 にも応募機会を与える。
・試験制度などの転換制度の導入。
・その他通常労働者への転換を推進するための措置

*シリーズ  パートタイム労働法の概要 2につづく

  行政書士&社会保険労務士 成瀬事務所
posted by なんでも興味アリの行政書士&社会保険労務士 at 15:45| 愛知 雨| Comment(0) | パートタイム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする