2009年10月10日

派遣先事業主は派遣労働者に直接雇用の申込をしなければならない

  先日、当事務所への相談者の中にこんな質問を

 された方がみえました。

  「自分は派遣先で3年以上(26業務)で働いて

 いるが法律的には、派遣先に雇用の申込義務が

 あるのではないか?」

  昨今、人材派遣業者に雇用されて派遣先で長期に

 働いている方が多くみえるようですが、今回のテーマ

 について自分は対象になるのかどうか、疑問を感じて

 いる方もちらほらいらっしゃるでしょう。

  そこで今回は、労働者派遣法ではどのように規定

 されているのか、確認してみましょう。



 1.労働者派遣法40条の3 (雇い入れ努力義務)

   派遣先は派遣受け入れをしている同一の業務

  について派遣可能期間内で1年以上(派遣実施期間)

  役務の提供を受けた後、その業務について新たに

  労働者を雇い入れしようとする時は、下記に適合する

  派遣労働者を遅滞なく雇い入れるように努め

  なければならない。

    @派遣実施期間が経過した日までに、当該派遣先に

      雇用されて同一の業務に従事することを希望する

      旨を当該派遣先に申し出たこと

    A派遣実施期間が経過した日から起算して7日以内

      に当該派遣元事業主との雇用関係が終了したこと

 2.労働者派遣法40条の4
  (派遣期間の制限のある業務への雇用契約の申込義務)

     派遣先は、派遣元事業主から派遣期間の制限に

  抵触することになることの通知を受けた場合に、

  派遣されている労働者を継続して使用するときは、派遣

  期間の制限が抵触する前日までに、派遣されている

  労働者が派遣先に雇用されることを希望する者に対し、

  雇用契約の申し込みをしなければならない。

 3.労働者派遣法40条の5

  (派遣期間の制限のない業務への雇用契約の申込義務)

     派遣先は、派遣期間の制限のない業務について、

  派遣元事業主から3年を超える期間継続して同一の派遣

  労働者による役務の提供を受けている場合、その業務

  について正規の労働者を雇用しようとするときは、当該

  労働者に対して雇用契約の申し込みをしなければならない。

 4.労働者派遣法48条1項(指導、助言、)

  厚生労働大臣は、労働者派遣の役務を受ける者に対し、

  労働者派遣事業の適正な運営または派遣就業を確保

  するために必要な指導及び助言をすることができる。

 5.労働者派遣法49条の2(公表等)

   労働者派遣法48条1項の指導、助言を受けても、なお

  これに従わなかった場合等に、厚生労働大臣は40条の4、

  40条の5の違反者に対し雇用契約の申し込みをすべき事を

   勧告することができる。

   さらに、この勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、

   その旨を公表することができる。

 以上、簡単に関係条文をあげてみました。

 全体を見て感じることは、指導、助言、勧告、公表がどれほど

 派遣先企業に影響力があるか、少し疑問です。

 また、無理やり法律を盾に雇入れをさせたとしても、その後の

 労働環境に影響を受けないか、この点も心配があります。

  こうしたことも考慮に入れて参考にしてください。



  なお、平成16年改正労働者派遣法についてのポイント

  こちらをご参照ください。

  行政書士&社会保険労務士 成瀬事務所
 

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posted by なんでも興味アリの行政書士&社会保険労務士 at 17:24| 愛知 霧| Comment(2) | 労働者共通の相談テーマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月07日

中小企業の新型インフルエンザ対策はどうしたら良いか?

いよいよインフルエンザが流行するシーズンを迎えます。

 ニュースでは連日のように個人への対策を報道して

いますが、さて中小企業はどうしたらよいのでしょうか?

 大企業のように大がかりな組織的活動はなかなか

できませんが、最低限このくらいは社員に周知して

おきたい点をご紹介したいと思います。

 

 1.まず、こうした非常事態の対応を考える際にはその前に

   私たちの今回のテーマに関連した使用者と労働者の

   労働契約の前提となっている考え方も整理

   しておく必要があります。

 2.すなわち、

   @使用者の安全配慮義務(労働安全衛生法3条項 

                     労働契約法5条  )

     事業者は職場における労働者の安全と健康の確保

     するようにしなければならない。

     *労働者は使用者の上記措置に協力するように

       努めなければならない。(労働安全衛生法4条)

      ⇒したがって、使用者は感染した者を出社させたこと

        による健康な労働者への職場内二次感染を防止

        する措置が必要となる。

   A労働者の使用者への良質な労働力の提供義務

       使用者が労働契約上、労働者の労働提供に対する

       対価を支払う義務があると同時に、労働者には

       「良質な労働力」を事業者に提供する義務がある。

       *感染した状態で出社することは当然義務違反となる。

   B信義則(労働契約法3条4項)

       労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、

       信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行

       しなければならない。

       *非常事態の対処においては、互いにより良い

         職場環境を維持しつつ安定的な生産活動を

         行えるように協力をしなければならない。



 以上の前提を考慮に入れながら下記のケースについて

  各企業の可能なルールを決めるようにしましょう。

  *下記に記載したルールはあくまでも一例にすぎません。

      @従業員が感染した場合

         当該社員を出社させない。(私傷病休職)

         療養の状況については逐次社員より会社に

         報告を求める。

      A社員の家族が感染した場合

          当該社員が感染していないことが確実に

           確認された場合のみ出社を許可するが、

           毎朝、検温等のチェックを合わせて

           義務付ける。

      B社員の感染が疑わしい場合

           最寄りの保健所、病院等で感染確認をして

           確実に感染していないことが確認された

           場合のみAと同様の措置とする。

      C社員が感染する可能性が高い場合

           一部の社員が感染したため、同じ職場の人が

           感染する可能性が高い場合や、地域において

           大流行がみられる場合、会社の指示により

           一斉に自宅待機を命じることがある。

           (労働基準法26条による休業)



      以上、簡単にサンプル事例を紹介しましたが、

       今回の新型インフルエンザ対策に関するガイドライン

       が出ていますので、こちらを参考にしてください。
  *特にガイドラインの26ページから27ページをご覧ください。

   行政書士&社会保険労務士 成瀬事務所

posted by なんでも興味アリの行政書士&社会保険労務士 at 16:01| 愛知 霧| Comment(0) | 中小企業経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月19日

労働者派遣事業と請負により行われる事業の区別をきちんとしましょう

 最近中小企業の製造現場をのぞいていると、よく聞かれる
質問があります。

 それは、「派遣と請負はどこが違うの?」という質問です。

 少し以前では、よく「偽装請負」が私たち労働関係に携わる者
の間で話題になっていました。

 こうした質問が出てくる背景には、もちろん製造部門における
派遣の制限期間

就業場所ごとに同一の業務について最長3年、
 労働者派遣法40条の2第3項)

の問題が関連しています。

 そこで、今回は「労働者派遣事業と請負事業」の区別を
ご紹介します。



 1.定義

  @労働者派遣事業

    労働者派遣事業とは、派遣元事業主が自己の雇用する
    労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先の
    ために労働に従事させることを業として行うこと。

    ポイントは、派遣先と派遣労働者の間に指揮命令関係がある

  A請負事業

    請負とは、労働の結果としての仕事の完成を目的として
    請負事業者が注文主と請負契約を結ぶもの。もちろん
    注文主と請負業者の労働者との間に指揮命令関係はない

  B偽装請負の罰則

    労働者派遣法59条  
    1年以下の懲役または100万円以下の罰金

 2.労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準

   (昭和61年4月17日労働省告示第37号)

  @労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他
   管理を自ら行うこと

  A労働者の業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の
   管理を自ら行うこと

  B労働者の始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等に
   関する指示その他の管理を自ら行うこと

  C労働者の労働時間を延長する場合または労働者を休日に
   労働させる場合における指示その他の管理を自ら行うこと

  D労働者の服務上の規律に関する事項についての指示
   その他の管理を自ら行うこと

  E労働者の配置等の決定および変更を自ら行うこと

  F業務の処理に要する資金につき、すべて自らの責任の下に
   調達し、かつ支弁すること

  G業務の処理について、民法、商法その他の法律に規定
   された事業主としてのすべての責任を負うこと

  H自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備
   若しくは器材または材料もしくは資材により、
   業務を処理すること

  I自ら行う企画または自己の有する専門的な技術もしくは
   経験に基づいて、業務を処理すること

  *以上のいずれにも該当する事業主であっても、それが
   法の規定に違反することを免れるため故意に偽装された
   ものであって、その事業の真の目的が法第2条1号に
   規定する労働者派遣を業として行うことにあるときは、
   労働者派遣事業を行う事業主であることを免れることは
   できない。

 3.ご参考

   詳しくは下記の質疑応答集をご覧ください

   「37号告示に関する質疑応答集」
   たとえば、

   @請負労働者に対して、発注者は指揮命令を行うと
    偽装請負になると聞きましたが、発注者が請負事業主
    の労働者と日常的な会話をしても、偽装請負になるか?

   A発注者から大量の注文があり、請負労働者だけでは
    処理できないときに、発注者の労働者が請負事業主の
    作業場で作業の応援を行った場合、偽装請負となるか?

   B請負事業主の管理責任者が作業者を兼任する場合、
    管理責任者が不在になる場合も発生しますが、
    請負事業として問題があるか?    などなど、

   以上、労働者派遣事業と請負事業の区別に関して簡単に
 ご紹介しました。


  行政書士&社会保険労務士 成瀬事務所
posted by なんでも興味アリの行政書士&社会保険労務士 at 10:24| 愛知 霧| Comment(0) | 中小企業経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする