2009年12月23日

割増賃金はどうなっているの?


 最近、顧問先より代休と振替休日の違いについて
説明を求められました。
 この知識は割合大事なことですが、言葉では
なかなか理解しにくい内容です。
そこで、簡単に以下にまとめてみました。
 皆様のご参考になれば幸いです。

 割増賃金のルールについて

割増賃金の割増率についてご案内いたします。

1.例えば1日の所定労働時間が 8時から5時までで
 昼休みが1時間、で休日が土曜日と日曜日、
 日給が8000円の場合
 *なお、変形労働時間制採用事業所及び一部の地域
  における深夜時間については、今回の説明と
  異なる取り扱いが生じる場合がありますので
  ご注意ください。

 @月曜日から金曜日までの朝5時から8時までと
  夕方の5時から10時までは
  ⇒通常残業として  最低25%割増 
 (1時間当たり1250円以上)
   *労働基準法37条1項、
    平6年1月4日政令第5号によれば
   割増賃金率の最低限度は時間外労働は25%、
   休日労働は35%とする。
 このとき、残業が深夜時間(夜10時から朝5時まで)
 にかかった場合は
 ⇒通常残業(25%)+ 深夜分(25%)=50%割増
 (1時間当たり1500円)
   *労働基準法37条3項
 A土曜日の朝5時から夜10時まで
  ⇒この場合は通常の時間もすべて通常残業となる、
5時以降も10時までは同じ(残業の残業はない)
   最低25%割増(1時間当たり1250円)
  このとき、残業が深夜時間にかかった場合は、
  50%割増(1時間当たり1500円)
  *なお土曜日は法律上休日ではないが上記の条件
   の場合すでに週40時間の枠を超えるために
   普通時間の出勤であっても通常残業となる。
 B日曜日の朝5時から夜10時まで 
 (日曜日は基本的に法定休日)
 *法定休日については原則は、毎週少なくとも1日、
  又は4週間に4日以上
   労働基準法35条1項、2項
 ⇒この場合は通常の時間もすべて休日出勤となる
   取り扱いは通常残業とならず休日割増
 (35%割増)が適用される。
   このため、1時間当たりの休日出勤分は
   1350円となる。
 このとき、休日出勤が深夜時間にかかった場合は、
 ⇒休日割増(35%)+ 深夜分(25%)=60%割増
 (1時間当たり1600円)
整理すると、通常残業→ 25%以上  
      通常残業+深夜→ 50%以上
      休日出勤→ 35%以上 
      休日出勤+深夜→ 60%以上
     *但し休日は日曜日出勤に限る、
 土曜日は通常勤務もすべて通常残業となる

2.振替休日と代休について 
 *この場合の休日とは法定休日(日曜日)のこと
 昭和23年4月19日 基収397号、
 昭和63年3月14日 基発150号、
 @振替休日は前日までに振替日を特定する場合、
  *就業規則に規定が必要
    ⇒割増賃金は不要
 A代休休日は休日労働をした後に他の労働日を
  休日にする場合
 ⇒割増賃金は35%分(1日当たり2800円)
  となる
       8000円]0.35=2800円)
  *代休にしなかった場合は休日出勤した分は
 (1日当たり10800円)
       8000円]1.35=10800円

 以上、ご参考まで

 行政書士&社会保険労務士 成瀬事務所
posted by なんでも興味アリの行政書士&社会保険労務士 at 08:36| 愛知 霧| Comment(0) | 中小企業経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月06日

相続の手続きをなんにもしていません

  先日相談された事例の中に、表題のように「相続について
 ほとんどなんにもしていないがどうしたらよいでしょうか?」
 というものがありました。
  さすがに、被相続人の死亡届は出したが、その後不動産等の
 名義は書き換えていないし、遺産分割についての協議も
 していない。
 固定資産税だけは市役所の請求に従い支払っているが
 そのほかは放置したままになっている。もちろん、
 被相続人の準確定申告もしていない。さあどうしましょう?
  でも、こんなことは、たいていの家庭でよくお目にかかる
 ことではないでしょうか?
 相続税がたくさんかかるような資産家ならともかく、普通の
 家庭では相続税がかかるほど遺産が残せないのが普通
 かもしれません。
  今回は、相続税の事は税理士さんの分野なので除外して、
 一般的な相続手続きの流れをご紹介したいと思います。

1.死亡届の提出 戸籍法86条 
  ⇒死亡した日、又は死亡を知った日から7日以内に
   市区町村役場に提出
2.遺言書の有無の確認
  ⇒自筆証書遺言(民法968条)、秘密証書遺言(民法970条)   の場合は、家庭裁判所の検認が必要(民法1004条)
 *検認を経ないで遺言書を開封した場合、5万円以下の過料
  (民法1005条)
3.推定相続人の確定(民法886条から895条)
  *胎児は相続についてはすでに生まれたものとみなす
  (民法886条)
  *相続人の欠格事由(民法891条)
   ⇒ここに掲げる者は相続人となれない
  *推定相続人の排除(民法892,893条)
   ⇒被相続人による相続権の否定
  *法定の推定相続人⇒@子及び代襲者 A直系尊属 B兄弟姉妹
  *配偶者は常に相続人となる(民法890条)
4.相続財産の調査、目録の作成
  ⇒相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の
   権利義務
を承継する(民法896条)
  *すなわち、プラスの財産だけでなくマイナスの財産もすべて
5.相続をどうするかの意思決定   (限定承認の説明は省略)
  *単純承認(民法920,921条)
   被相続人の相続の開始を知った時から3ヶ月間
   何の意思表示もしなかったり、単純承認とみなされる行為を
   した時など
  *相続放棄(民法938条)
   被相続人の相続の開始を知った時から3ヶ月間に
   相続放棄の意思を家庭裁判所で申述
  (被相続人の相続開始前には相続放棄の手続きはできない)
6.遺産分割協議(民法907条)
   ⇒共同相続人は、被相続人が遺言で禁じた場合を除き、
   いつでも、その協議で遺産分割をすることができる。
   *遺産分割には3方式⇒@遺言 A法定分割 B分割協議 
    C@からBでまとまらなければ分割を家庭裁判所に請求
7. 準確定申告(所得税法124,125条)
   1月1日から死亡した日までの被相続人の所得を相続の
    開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に
    相続人が代わって行う
   *詳しくは税理士さんに問い合わせください。
8.遺産分割による所有権の移転登記、各種財産の名義変更など
   ⇒不動産の移転登記必要書類として、遺言書、
    遺産分割協議書、相続関係説明図などが分割内容の
    確認のため、分割の方式により適宜必要となります。
   *銀行預金の名義変更についても上記書類や相続人全員の
    承諾書等を要求される場合があります。
9.相続税の申告、納付(相続税法27条)
   ⇒相続開始を知った日の翌日から10カ月以内
   *詳しくは税理士さんに問い合わせてください。

 なお、関連情報として当事務所ホームページ「相続と税金」
 も参考にどうぞ

 以上、簡単に相続手続きの流れをご紹介しました。
 何かのご参考になれば幸いです。

 行政書士&社会保険労務士 成瀬事務所
posted by なんでも興味アリの行政書士&社会保険労務士 at 08:43| 愛知 霧| Comment(0) | 身近な法律問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月28日

中小企業雇用安定助成金の計画届けで戸惑ったこと

 最近、タウンページを見て当事務所に中小企業雇用安定助成金
の計画申請のご依頼をされた会社さんがありました。

 事情を伺ってみると、社員が二人ということで助成金の計画届を
するかどうか、ずっと迷っていたが最近特に受注が減って
きたため、ここまで来たら自分で手続きをするか、専門家に
依頼するかしなければならなくなったそうです。

 最初、自分でいろいろハローワークなどに説明を聞きに行って
みたが、どうも自信が持てなくて結局当事務所にご依頼された、
ということでした。

 まだまだ景気が良くなる兆候が見当たらず、当事務所が
お手伝いさせていただいている会社さんもほとんどなかなか
助成金の申請がやめられないままです。                

 早く景気が回復してこないと、いったい日本を支えている
中小企業はどうしてしのいで行ったらよいのでしょうか?

 さて、そんなこんなで、今回は中小企業緊急雇用安定助成金
の申請手続きのお手伝いを通してちょっと戸惑ったことを、
自分で手続き等をされる方のご参考になればと思い、
以下にご紹介したいと思います。

1.会社にいくつかの部門があり、労働者代表との協定書による
 休業手当の支給率を部門ごとに変えたい場合どうするか?

  ⇒1枚の休業協定書の中で、部門ごとにそれぞれの
   休業手当の支給率を明示する。

   注意することは、支給申請の時の様式第5号(2)の
   協定率は最も低い支給率で統一される。

2.初回申請で、1年間の対象期間が定められるが、その間で
 休業が必要な月と必要でない月が生じた場合どうなるか?
(1年の中でチドリ状態になった場合)

  ⇒全く問題ありません。基本ルールにのっとって休業が
   必要な月についてのみ事前に計画を届け、実施後に
   申請書を提出すればよいのです。(当初の対象期間の中で)

3.社員が二人しかいない、過半数労働者代表はどうして決める?

  ⇒まず、委任状で一方の労働者を代表とし、選任された
   労働者を選任届け出として会社に出せば大丈夫です。

   今後は選任された一方の労働者が労働者代表となります。

4.営業職のため、タイムカードを使用していない。

  ⇒この場合、当事務所ではタイムカードに代わる
   勤務データ集計表を作成し、社員各自の確認印を
   もらってタイムカードに変えています。

5.建設関連の業種で、年間カレンダーが決められない。
 特に、土曜日、日曜日が出勤となるケースが多い。

  ⇒計画届及び申請のどちらも年間カレンダーを
   決めないですますわけにはいかないので、なんとか
   年間カレンダーを作らなければならない。

   この場合、過去の年のカレンダーは実績を見て
   作成することになるが、これからの予定はあまり
   厳密に考えずにおよその予定で作成するほかない。

   ただし、週40時間や1日8時間などの労働基準法の
   しばりもあるので、年間52週とすると、年間で
   就労可能な労働日は大体260日が限度となりそうです。

   こうしたことも考えながら、とりあえず年間カレンダー
   を作成し、実際の各月の実施においては振り替え休日等
   も利用しながら、現実的に対応することになるでしょう。

6.就業規則も賃金規定もない

  ⇒この場合の初回計画届では、対象労働者との雇用契約書
   又は労働条件通知書等の写しが要求されます。
   どちらかを準備してください。

7.役員の中に雇用保険に加入している兼務役員がいるが、
 助成金の対象になるか?

  ⇒役員は原則雇用保険の被保険者になりませんが、勤務の
   状況等によっては兼務役員として被保険者として
   認められる場合があります。
   この場合は、「役員報酬」の部分と「労働者としての賃金」
   を区別して、賃金部分のみを対象とすることは可能です。

   注意することは、安易に役員報酬を変更すると税法上
   経費として認められない場合も生ずるので税理士さんに
   よく確認してください。

8.社員個人ごとに休業日が異なってもよいか?

  ⇒以前は部門ごとに休業日を決めることになって
   いましたが、現在は個人ごとに決めてもよいことに
   なっています。柔軟に考えて効率的に運用してください。

    

  以上、思いつくままに現在最も注目されている
  中小企業緊急雇用安定助成金の申請等にかかわる
  気になる情報を書いてみました。

  ご参考になれば幸いです。

 行政書士&社会保険労務士 成瀬事務所

posted by なんでも興味アリの行政書士&社会保険労務士 at 16:58| 愛知 霧| Comment(0) | 中小企業経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする